留学とはリセットである。

「留学とはリセットである。」

3年間のロンドン生活を終えて帰国した時、
出発前に数百人いた友達(だと思っていた人たち)
はほとんどいなくなってしまった。

いや、厳密にはいなくなったというより、
こっちから連絡しなくなっただけだけど。

新しい携帯の番号は誰も知らないから
かかってくることはない。
そもそも帰国したことすら知らない人もいる。

どうしても会いたい人にだけ自分から連絡した。

出発前、携帯の電話帳には
数百件の連絡先が入っていたのに、
帰国後買った新しい携帯のアドレス帳
には数人しか入っていなかった。

「うわ、オレ友達少なっ!」

て自分で笑ったけど、それでいい。

本当に大事な人はそれしかいなかったということだ。

でもそのおかげで前より自分の
時間が沢山持てるようになったし、
余計な人間関係に煩わされなくなった。

シンプルになった。

留学とはリセットである。

今までの人生のリセットである。
人間関係のリセットである。

本当に大事な人とだけ密な関係を築けばいい。

大事なのは数じゃない。
本当に分かり合える
大切な友達がひとりいればいい。

毎週末飲み会になんて行く必要はない。
そのお金と時間を使えば
YOGA教室にもジムにも通える。

週末予定が空いていても
無理に埋める必要なんて全くない。

お気に入りのアロマでも炊いて、
お気に入りの音楽をかけて、
カモミールティーでも飲みながら、
読みたかった本を読んだり、
観たかった映画のDVDを見たりすればいい。

それは寂しい生き方ではないし、
世間で言われる「リア充」に
負けず劣らぬ充実した生き方だと思う。

留学の良いところは、
否応無しにリセットされることだ。

仕事も、人間関係も。

もちろん元の仕事に戻ってもいいし、
今までの友達と再び繋がってもいい。

無理に手放す必要なんて全くない。

大事なのは、一度手放すことによって、
「本当に必要なもの」をより客観的に、
一歩引いて冷静に見られるようになるということだ。

案外、要らないなものに囲まれていて
不自由になっているかもしれない。

それが足枷になって生きにくく
なっているのかもしれない。

「自分に必要なものだけを選んで、形に捕われず、自分の”気持ち良い”に従おう」

ロンドンに留学する直前に
芝浦のクラブを貸し切ってライブをやった。

その時に歌った曲の歌詞だ。

人生に迷い、将来に不安をかかえながら
悶々としていた留学前の時期に書いた歌詞。

今思うとロンドンに行ってその通りになった。

人生に悩み悶々としていた僕が書いたこの歌詞は、
当時の僕の願望だったのかもしれない。

今は頻繁に飲みに行くわけでもないし、
キツキツで遊びの予定を入れるわけでもない。

でもふと思い立って行ってみたかった
カフェに行ったり、 気になった映画を見に行ったりはする。

この今のライフスタイルは結構気に入っている。

今ならはっきり分かる。

26歳の留学前の僕は「みんなと一緒」な
ライフスタイルに引っ張られていたから苦しかったんだ。

「プロのミュージシャンになる!」

なんて言いながら、社会に出ていた
友人と比べていたから苦しかったんだ。

あいつは結婚したとか、
マンション買ったとか、
部下が3人いるとか・・・

そんなこと、どうでもいいのに。

そういう人たちと、

”卒業後も何も変わらず、相変わらず
夢見がちなフリーターだった自分”

を比較して、ダメ人間と思い込んでいた。

今思うと本当にくだらないけど、
その時は本気で悩んでいたんだ。

僕は「みんなと一緒」を手放した。

だって、そんな生き物じゃないもん。

みんなと一緒からの卒業。

皆と同じような働き方が
できなくたっていいじゃない。

みんなと一緒の生き方が
できなくたっていいじゃない。

ロンドンで暮らして、”みんなと一緒”
にこだわることが、いかにバカバカしいかを思い知った。

だって、ロンドンで出会った人は、
皆それぞれ好きなことやって生きているし、
自分のモノサシを持って、
自分のスタイルを持って生きているから。

ロンドンには移民も沢山いるから、
生まれた国も、宗教も、
受けてきた教育も言葉も違う、
バックボーンの全く異なる人たちがそこら中にいる。

みんな一緒じゃない。

一緒じゃないのが当たり前

この感覚が、頭で分かるだけじゃなく、リアルに実感できた。

そもそもみんな一緒なんかじゃない。
そう思っているとしたらそれは幻想だ。

にも関わらず、

「みんなと一緒の生き方をしなきゃ」

と思うから無理がでるし苦しくなる。

もし今、

「何か違う」
「このままじゃだめな気がする」

というようなしっくり来ていない感覚があるのであれば、
一度立ち止まってリセットしてみてはどうだろうか?

日本を出て、知らない街で暮らしてみる。
外国人と一緒にアパートをシェアして暮らしてみる。
友達も知り合いも全くいない街で暮らしてみる。
今までとは全く違う環境で暮らしてみる。

こういう経験をすると、今までの自分の
生活を客観的に見られるようになる。

だからリセットできる。

「あ、これ要らねーな」
「今まで何でこんなことを気にしていたんだろう?」
「これは人としてなくしちゃいけないな。大切にしよう」

・・・

こういう発見が沢山ある。

だから留学って良いと思う。

こういうことを沢山気づかせて
くれるからロンドンって面白いと思う。

自分に必要なものをもう一度、
ひとつずつ選び直して、
要らないものは捨てて、再構築する。

そうすればより自分らしい、
しっくりと来る生き物になるから。

留学って自分をリセットして
整理できるまたとない機会だと思う。

ロンドンはそれができる街だ。

井ノ口

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